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歩き始めてはや一時間程―。
「っ~はぁはぁ…なんなのよここはっ。歩いても歩いても森森森森~!!」
白雪は力付きて腰を下ろした。
空を見上げればポツンと虚しく浮かぶ月。
「はぁぁ~……私…このまま死んじゃうのかなぁ…」
(私の人生こんなもんだったのかなぁ…)
目を閉じて深い眠りに着こうとすると、
ガササッッ!!
「なっななな何!!」
勢い良く起き上がると茂みが激しく揺れている。
「…ごくんっ。」
嫌な予感に白雪は息を飲んだ。
茂みを見つめているとその中からのそっと現れた。
そこにいたのは…
「うっうそでしょ…。私こんなのに噛み殺されてジ・エンド?」
白雪の目の前には、キバを向きだしにしてよだれを口から垂らしている狼のような体をした動物がいた。
「グルルゥッ」
「ひっ…ぃやああああ!」
白雪が逃げだそうとしたと同時に、獣が白雪に向かって飛びだしていた。
間一髪のとこで体をひねり避けようとしたがバランスを崩して木に激突した。
ダンッッ!!
「ぐっ…カハッ…うぅっ」
白雪の白い腕からは避けようとしてかすめた獣の爪で傷ができ赤い血が流れていた。
(痛い…っ。私死んじゃうのかな…くっ…)
白雪の考えなど無視するかの様にキバをカチカチと鳴らし一歩一歩近づいて来た。
「グルガァァァッ!!」獰猛な声が響き白雪めがけて鋭い爪が降りおろされた。
(もぅ駄目ーっ!!死ぬっ!!)
目をギュッと閉じ鋭い爪が降りおろされるのを待った―…
がー…いつまでたっても痛みはやって来ない。
その代わりバチッッと大きな音が一回響いた。
(私…まだ生きてる?)そっと目を開けると白雪の前にはあの獰猛な獣が地面に倒れていた。
そしてもう一つ。
誰かの後ろ姿が。
(だ…れ…?)
「おいっ!大丈夫かっ?おいっ!」
夢とは異なる声を聞きながら白雪は意識を失った。
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