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(怪我…?やっぱり夢じゃなかったんだ…)
セーラー服のタイを通しながら後ろを向いて上着を羽織っている人物の背中に、あの獣に襲われた時に最後に見た後ろ姿を思い出した。
「あ…もしかしてあなたが助けてくれたんですか…?」
「ん?ああ。たまたま通りかかってな。しかしなんでこんな山奥に?ここいらは、ベアウルフの住処で危険地帯だぞ。弱い魔法じゃ到底敵わないの分かってるだろ?」
「え…?ぇと…」
男が問いかけた事に言葉を返せずに、考え込む。
(ベアウルフ…?何それ…そんな動物の名前知らないし…それに今…)
"魔法"
(聞き間違いぢゃないよね…?この人なんなの…どうゆう事なの…)
段々と不安になり、嫌な予感が胸をよぎる。
「もう振りむいても平気か?」
「ぇっ?あっ…はぃ大丈夫です…」
ようやく服をまとい、互いの顔を見合わせた。
(ぅっわー!なにこの人超美形…なんでこんなに顔整ってるの。)
振り向いたその顔を改めて見ると、端正な顔立ちをしている。髪は稲穂のような金色に目は澄んだ茶色、日本人離れした顔だ。しかもようやっと見ると男が身につけているものはまるで民族のような見た事もない服だった。
「外人…ですか?」
「はっ?何だそりゃ。」
「えっ…」
誰でも知っている常識的な単語に疑問符で言われ白雪は戸惑う。
(しかしこいつ珍しい顔立ちだな…)
この男も白雪の容姿を観察していた。
黒髪に大きくぬれた様な黒い瞳、唇はふっくらとした薄桃色に真っ白な肌。
男は自分の胸が高鳴るのを感じた。
(な…なっ!!ドキッてなんだよ!)
心なしか二人とも頬を赤く染めている。
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