265人が本棚に入れています
本棚に追加
海夢が探偵事務所を出ていった後、窓越しから歩いて帰る海夢の後ろ姿をジッと見下ろしながら、私は少しやるせない気持ちだった。
彼女は帰る間際、無邪気な笑顔で『一日でも早く、お兄ちゃんを見つけてね』と言っていた。
しかし、私はあの時、「必ず見つけるよ」とは答えられなかった。
それも、そうだろう。
いくら私でも希望に満ちた顔をした彼女に向かって、『お兄さんはもう死んでいるかもしれない』なんて、いう推測は口が裂けても言えるセリフではなかったのだから。
最初のコメントを投稿しよう!