調査開始

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調査開始

調査初日。一月二十九日。火曜日。現在時刻九時。 私は公平の捜索を始めるため、まず初めに立ち寄った場所は半年前までは公平の職場だったとされる『プレスタンツァホテル』へ足を運んだ。 さすがに株式会社とだけあってか、ビルの大きさは軽く十階以上はあると一目見てわかる。昨日、調べた雑誌にも『プレスタンツァホテル』は大きく取り上げられるほどで、接待、料理、設備が良く、特に犬や猫といったペットも一緒に泊められるのが売りの有名ホテル。もともと、本社はイタリアにあるホテルで、プレスタンツァとはイタリア語に直すと『美貌』または『素晴らしさ』という意味に翻訳できる。 私も仕事柄、張り込み調査などでホテルに泊まることはあるが、このような一流ホテルの世話になることない。あるとしたら小さな旅館だったり、たまにラブホテルなんかで張り込みが多い。といっても、今回は張り込み調査ではなく、ただの聞き込み調査になるけど。 しばらくホテルを見上げていた私は、あまり時間に余裕はないことを思い出し、すぐさま足早にホテルの入口にある回転ドアに身を入れた。 「こ、これは……」 入口に入った途端、私はつい驚きの声を漏らしてしまう。 ホテルの中は一言で言い表すのであれば『ゴージャス』に相応しいものだった。中は見渡すほどの広く、床なんかは赤いカーペット。そして、受付にいる人や椅子に座る客もまたゴージャス。 特に目に付いたのは指や首に「これでもか!」と言わんばかりの指輪やネックネスといった付けた五十代くらいの厚化粧なおばさん。 横には胴の長い犬(確かダックスフントという種類の犬だった気がする)が大人しくお座りしている。他にも犬連れや猫連れの客がいる。 そんな中でも、動物同士で吠え合ったりしないのは、きっと飼い主により、しつけがきちんとなされてるからだろう。 そんな心配より、自分がかなりの場違いであることを心配した方が良さそうだ。と、恥じる一面、私は特に気にすることなく、空いている受付女性に近付く。
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