プロローグ

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「真実を知りたい」 それは当時、検察官だった私が辞表を提出した際に言い残した最後の言葉であった。 時が過ぎるのも早いもので、あれから二年の月日が経とうとしている。 検察官だった頃の私は東京にいたのだが、退職した後は生まれ故郷である仙台に戻り、今は勾当台公園という場所から徒歩十分程度に位置する古いビルの二階を借りて、宇都宮探偵事務所所長という肩書きで現在、私立探偵をやっている。 私の名前は宇都宮真次(うつのみや しんじ)年齢は二十八歳。血液型はAB型。三年前に測ったものだと身長は百八十センチで、体重は七十キロ。今では体重に多少の変化はあるかもしれないが、身長の方にはそんな変化はないと思う。性格面ではよく人から無愛想だと指摘されることもしばしばだが、探偵としての仕事はきちんとこなしているし、プラスに考えれば親しい人間との信頼は厚い。探偵である現在は検察官にいた時の知識が活かされ、これまで数々の難事件を解決へ導いたこともある。 他に紹介するうえで、趣味は特にない。ただ、かなりのヘビースモーカーということくらい。 顔付きは日本人にしては彫り深く、人を見透かすように鋭い瞳がどうも他人からは避けられてしまう、という悩みは今だ消えない欠点の一つだ。 さて、自己紹介はこの辺にしておくが今回、この宇都宮探偵事務所に厄介な依頼が入ってくるわけだが……まさか、それが自分の今後の人生を大きく左右するものだとは、この時の私には想像すらしていないことであった。
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