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社食に向かい、トレーを手に列に並ぶ。
「あー、A・Bどっち選ぼうかな?あきと君、どっち?」
「A、チキンステーキ。」
「じゃ、私も~。」
美香は、今日も元気が有り余ってるようだった。彼女とは、たまにこうして一緒に食事をとる事がある。
「最近部長の見回り多くてさ~、楽しく明るく仕事させろっての。」
「年末近いし、少しでも多く片付けたいんだろ。」
「顕微鏡ばっか覗いて、目がチカチカするわ。…あれ?ちょっと!」
不意に、美香が僕の右手を掴んで引っ張った。
「あいたっ!」
「ちょっと、どうしちゃったのコレ?!エルメスでしょ!」
「買った。」
「うそ?!今まで100円ショップの腕時計してた、あきと君が?」
「あのさ、流石に100円ショップの時計じゃなかったんだけど。」
「でも、明らかな安物だったじゃない。どうしたの?」
「…その、色々あるんだよ。」
「…ははーん、女か。」
美香が意地悪く笑う。きっと、この時の僕は、複雑な表情をしていたはずだ。
「ね、誰よ?ひょっとして、付き合ってるの?私の知ってる人?」
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