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「柊君、こっち!」
「ごめん、姫川さん。待った?」
「ううん。」
週末の昼下がり、約束どうり僕は、駅で彼女と合流した。
「この前も思ったけど、柊君ってお洒落なのね。」
「そんなことないよ。それより、今日の予定だけど…。」
「その事なんだけど。」
彼女は、にっこり笑って言った。
「柊君に、見てもらいたい場所があるの。」
「僕に?」
僕達は、並んで歩く。駅から少し距離があると言った彼女、軽快な靴音と共に進んでいった。
「私、ウォーキングが趣味なの。柊君も、何か体力作りしてるの?」
体力作り…1日立ちっぱなしで金型に穴あけて。機械まわしてる僕は、仕事が体力作り…──って、言うわけにはいかない。
「ジムに通ってるんだ。今メタボリックとか、色々言われてるからね。」
「そうなんだ。あ、あの店!まだあるのね。」
彼女が指差したのは、昔からあるお好み焼きの店。中学生や高校生のたまり場だ。
「変わってないわね。皆、ここで集まったりしてたでしょう?」
「姫川さんが知ってるなんて、意外かな。昔は、よくハルと、北島春樹おぼえてる?」
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