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「今日は、本当に楽しかったわ。しばらくは開店準備で忙しいけど、また会える?」
「また連絡する。」
店を出た僕達は、駅へと向かった。この時間がもうすぐ終わるかと思うと、とても残念で…反面、ほっとしていた。シンデレラの魔法も、一晩限りで消えるのだ。
そう、嘘がばれる前に…──。
「あれ、あきと君?!」
「え?」
「うっ?!美香っ!」
よりによって、こんな場所で出会うとはっ!
「何よ、彼女連れ?って、あれれ姫川さん?」
「あ、田中さん。」
「ハハァーン、だから急にカッコつけ始めたのね。そりゃ、そうよね。相手姫川さんじゃ当然か。」
「ちょっと待て、今は待て!」
「こいつったらね、急に時計とか服とか凝りはじめて、なぁんか仕事にも手がつかない感じだったの。注意散漫だと、自分の手に穴開けるっての。」
「手に、穴?」
「聞いてない?あきと君の仕事、金型の穴あけやってるのよ。私は、その検査。同じ会社の一階と二階ってわけ。」
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