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取り立てて人より秀でた能力も無く、ごく普通の家庭に生まれ、皆と同じように何となく大学を出た。
何か夢を持っていたわけじゃなく、大学を卒業した僕は田舎に帰り、手堅い地元の工場に就職した。
その生活に不満を感じる事もなく、ただ毎日を過ごしていた。
『なぁ、“アッキー”。今度の日曜どうすんだ?』
「ん?ああ、同窓会ね。行くよ、暇だし。」
『遅れず来いよー?中学のクラスメートったって、逢う奴は逢うけど、逢わない奴とは全く逢わないもんなぁ。』
「コッチに居ない奴も多いだろ?べつに、仲いい奴とはいつだって会ってるし、飲み食い出来ればそれでいいさ。」
『そりゃそうだけど。じゃ、週末な。』
「ああ。」
電話の相手は、幼馴染みの北島 春樹。いつから仲良くなったのか忘れるほどに、腐れ縁の友人だ。お洒落で話上手な奴は、女の子にも人気がある。それは、今も昔も変わらない。家業の理髪店を美容室に作り替え、今じゃ地元のカリスマ美容師だ。
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