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『ごめん、ね?』
『……。』
『本当に、ごめん!事情、知らなかったんだもの。あきと君、ごめんなさいっ!』
『いいよ、美香。根本的に悪いのは、嘘ついてた僕だし。』
『でも…。』
『いいんだよ、気にしなくたって。元々、釣り合わなかったんだから…。』
あの後、どうやって駅に着いたのかハッキリ憶えていない。きっと彼女は怒っていただろうし…ただ、繰り返し謝っていたきがする。
情けない。
三日前、彼女から電話がかかってきた。週末、会いたいと。あの開店予定の店で待っているそうだ。
「どんな顔したらいいかな…。」
正直、途方もなく気が重い。でも、これは嘘をついた僕の罰だ。
チラチラと雪が降っている。まだ、道に積もるほどではないものの、もうすっかり冬だ。
店には、灯りがついていた。天使の台所、そう書かれた二人の天使が描かれた看板も取り付けられている。
ドアに手をかけ引くと、カランカランと澄んだ音がして、中から彼女が出てきた。
「…あの。」
「柊君、とりあえずそっちに座って。」
「うん。」
僕達は、向かい合いテーブルについた。
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