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『ああっと、忘れてた。週末、店臨時休業にしたからさ、アッキー髪切りにこいよ。』
「ハルの店にか?」
『そんな嫌そうな声出すなよ。カリスマ美容師の俺様に、任せなさーい♪』
「…イマイチ、信用できないんだけど。」
『ひでー。ま、待ってるからさ。あ、お代は二千円な。』
「セコいぞ。」
携帯をベット脇に投げ捨て、パソコンを開く。寝転びながら適当に気になるワードを検索して、ダラダラと1日を終わらせるのが僕の日課だった。
そう、あの日までは…。
「どうだっ!」
「……。」
言葉の出ない僕に、得意気な春樹がハサミ片手にポンポンと肩を叩く。
「見ろっ!どー見ても、地味な工場勤務の男には見えないだろ?人間、手をかければ変わるもんさ。青年実業家って感じだろ?これで、そこのスーツとメガネかけりゃ完璧!」
「お前、何をしたいんだよ?」
「アッキー改造計画!」
「ハル、人で遊ぶな。」
「サプライズでいいじゃん。ま、アッキーが普通の工員だっていつもの連中は知ってる訳だし。イメチェンきまれば、俺の店も益々商売繁盛。」
「狙いは、そこか。」
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