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すべてのHRが終わり、皆思い思いに帰り支度をはじめた。
夏休みが近いので浮き足立っているのが伺える。
「私帰るけど苺は?」
鞄を肩に掛けて苺の机の前に来た奈緒はこてんと首をかしげた。
美人な彼女はそんな仕草すら様になる。
「…補習の説明会」
憂鬱そうな苺が一言そういうと奈緒は納得したように頷いた。
「ま、頑張りな。またね」
奈緒は軽くそう言うとそのままその場をあとにした。
この裏切り者…!
苺はそんな奈緒の後ろ姿に向かって叫んだ。
…心の中で。
篠崎苺15歳。
多分元気な女の子。
好きなものはアイスとケーキと体育。
嫌いなものは数学と幽霊。
アイスは棒よりカップが好き。
幽霊とか不可思議なものは気味が悪いから大嫌い。
でも数学はもっと嫌い。
現在好きな人はいない。
恋愛はしたくない。
だって夢中になった分、傷つくのが怖いから。
だから恋をしない。
私はそう決めたんだ。
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