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「篠崎、この状態でテスト大丈夫?」
その日の帰り、結局完全下校までテスト勉強をした二人は必然的に一緒に帰ることになった。
青木は苺の理解能力の低さに驚き、そして同時に夏休みの補習のことも理解した。
このままでは今回のテストも危ない。
と言うか既に手遅れといったほうがいいかもしれない。
まさか苺がここまで数学が出来ないとは思っていなかった青木は、初めこそなんとかしようと意気込んだものの、帰る頃には流石に力尽きてしまっていた。
「今回は諦めた方が良いよ、篠崎」
青木は諦めモード全開。
流石に好きな相手でも、こればっかりはどうしようもないようだ。
「数学はあの藤井の次に大嫌いだもん」
ふんっと鼻を鳴らす苺。
「そ、そんなに藤井先生のこと嫌いなの?」
青木はどうしてそんなに毛嫌いするのかと不思議に思った。
藤井は青木から見ても教え方がうまい教師だし、その整った顔立ちやスマートな佇まいから女子生徒に人気があることも頷ける。
それなのに苺はそんな藤井のことを嫌いだときっぱりと言い切るのだ。
青木にとってそれがとても不思議でならなかった。
しかし苺は青木の質問に理由は言わず大きく頷いただけだった。
「次に嫌いなのは幽霊だよ」
青木の中にますます苺に対しての疑問が増えたのだった。
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