MY LIFE

6/18
前へ
/45ページ
次へ
――……夕日で朱く染まった土手を自転車を漕ぎながら進んで行く。 今は夏を過ぎて秋になるかならないか、という季節だが、まだ頬に当たる風が生暖かく、額には微量の汗をかく。 奏「……帰って何するかな。」 俺は誰に言うでも無く呟き、やっぱり朱色に染まった土手で自転車を漕ぐ。 俺は、自宅に着くと鞄を布団に放り投げ、立て掛けてある自慢の愛器であるベースに手をかけた。 そして俺は、ベースと小さなアンプにシールドを繋ぎ、少しばかり外れた音をチューニングしてベースを弾く。 ――アンプから流れる低音が心地良い。 俺は時間を忘れるように、ただひたすらに自由にベースを弾いていく。 ……すると、1時間くらい経ったのか、という時間に携帯が鳴り響きだした。それはまるで俺の心地良い世界を破るかの様に……。 俺は携帯を取り、ディスプレイを眺める。 そこには、見慣れた人物からの名前が刻まれていてた。 俺の安らかな時間を破ってくれるのだから、よほどの要件でないと済まさねぇぞ?
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

311人が本棚に入れています
本棚に追加