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奏「……もしも――」
『いよっす奏っ!元気にしてっか?!』
俺が応対の台詞を吐くその前に電話の主により遮られた。
ついでに言うと、音量がかなりデカかった。俺は一度耳から携帯を話し顔をしかめてしまう。
奏「……もっと声を落とせ。タダでさえ馬鹿デカいんだから。」
『ハハハッ、悪ぃ悪ぃ』
電話相手の男からの謝罪には特に悪びれた様子は微塵も感じない。
これもいつもの事で、怒るでもなく携帯を再度耳に付けて会話を始めた。
奏「要件を5文字以内にしてはな――」
『ライブだ!ライブ!』
奏「……は?」
こいつはまた俺の会話を遮るが、今度はそれほど問題にはならない。こいつが言っている意味は十分理解できるが、再度確認してみる。
奏「章悟、今なんて言った?」
章悟『だぁかぁらぁ、ライブだよ。ラ・イ・ブっ。』
奏「…またいきなりだな。最近合わせてないだろう?」
章悟『いやさぁ、その……対バン誘われて……さ、断れなくってさ……。』
俺も章悟との長年の付き合いで不本意ながら奴の性格は熟知している。けど、いきなりライブだなんて章悟が言う訳がいんだよなぁ。
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