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「アアン!!何目ぇ瞑ってやがる!!!何もしねぇなら…とっとと死ねェェェェ!!!!」
吸血鬼が再び突っ込んでくるのが、目を閉じていてもよく分かる。
だけど、そんなのはどうでもいい…例え、あの吸血鬼が行動を取ろうとも…もう終わっている。
距離が段々と縮まってきたのが、近付く足音で知り得る。
でも、俺は目を閉じたまま…ただ待つだけ。
「死ねェェェェ!!!」
吸血鬼は大声を上げながら、渾身の力を込めて殴りかかってくる…。
だが、その行動虚しく…拳が俺へとたどり着く事はなかった。
俺の手に握られた朱色の柄をした銀の刃を持つ刀が夜の暗闇を斬り裂く。
けど、斬り裂さかれたのは暗闇だけじゃなかった。
「グッ!?!?」
吸血鬼は、斬られた衝撃と痛みで後ろにのけぞり倒れ、上半身だけ起こし傷口を手で抑えている。
吸血鬼の肘から先は…綺麗な月が照らす夜空にクルクルと舞い上がっている。
持ち主を失った腕は、一瞬のうちに斬られたためか拳を握ったままだった…。
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