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男が、俺の方に向けて全速力で突っ込んでくる。
俺は、動かずその場に立ちつくす…寒空の下、息が白くなり目の前がぼやける。
…仕方ねぇな。
男と俺の距離がみるみる縮まっていく…男のボタンを外したスーツがなびいている。
「死ねぇぇぇ!!!!」
男は拳を握りしめて俺の顔面へと打ち出す。
そんな直接的な攻撃…避けきれない方が可笑しいんだよ…
突っ立ったまま頭だけを横に動かして、その拳を避ける。
「チッ!!!ガキがぁ!!!!!」
拳を出して前かがみになっている体制から、今度は左膝を蹴り出す。
俺は、体を反らして男の膝蹴りを避けきる。
こんなの…余裕で避けきれるな。不動の組み手に比べたら…いや、比べたら不動に悪いな。
俺は、そんな事を頭の中で考えながら、男の右を走り抜こうとする。
「逃げるなァァァ!!!!!」
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