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「私の所に来るのは千香ぐらいしか居ないしねぇ」
掴まれていた腕を軽くほどき、膨らんでいた千香の頬をつついた。
「もう、梨久ちゃん!」
梨久というのは私の名前。
わざと憎たらしく言ってみたのが少し勘に触ったのか、さっきよりも不機嫌になったみたいだ。
そんな一回一回の仕草や表情が、凄く女の子らしくて可愛いと思う。
顔立ちも整ってるし、クリッとした瞳には吸い寄せられそうになる。
ぷっくりした唇は、まあ世間一般でいう『キスしたくなる唇』ってとこ。
実際この子はモテる。
私が知ってるなかでは1年の内に4、5回は告白されていた。
何故か全部断ったみたいだけど。
千香とは対象に、そんな要素は皆無な私。
『りく』って名前からして男の子みたいなのに性格はガサツだし、あまりファッションとかにも興味を持たない。
小さいときに男の子に間違えられてから、髪型だとかには気を使ってきたんだけど、根本的な所はどうも直ってないようだ。
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