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「……可愛いなと思って」
「…へっ?」
千香に見つめられ、正直に思っていたことを口に出してみた。
「可愛いと思ってたの。千香のこと」
今度は千香の瞳を真っ直ぐに見つめながら気持ちを述べる。
千香はあまりにストレートに言われたもんだから目を大きく見開いて驚いている。
あ、だんだん紅潮してきてる。
ほんと、可愛いんだから。
「あ…えっと」
「なーに照れてんのよ」
「だって…!梨久ちゃんに見つめられながらそんなこと言われたら…誰だって照れちゃうよ」
…こっちが照れるんですが。
気付いたら千香の手を握っていた。
千香は特に驚いた様子もなく、逆に手を握り返してきた。
ここは女子校だからこんな光景は珍しくもない。
女の子同士が手を繋いだり抱きついたり、いわゆるコミュニケーションなんだろうけど。
…私は違う。
気付いた人もいるだろうけど、私は千香が好きだ。
世間一般でいう『同性愛』もしくは『レズビアン』。
昔から差別の目で見られる恋を自分がしてるだなんて、最初はなかなか受け入れられなかったけど、ある日ふと考えた。
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