思考停止

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数十分後 搬送で付き添っていた医者が私の元へやってきた 「○○さんですね、そこへ掛けてお待ち頂けますか」 「あ…はい」 NICU内にある小さな個室へと案内されまた待つことに 長い。ひたすら待っていた。 しかしふと思った。 こんな光景をどこかでみたことがある。 どこだ…。 うっすらと頭の中で映し出されたのは、あるドキュメンタリー番組だ。 難病にかかり、病院の先生から説明を受ける親。 「子供さんは1000人にひとりがかかる極めて稀な難病です」 等と言われ、泣き崩れる親。 そしてそれに立ち向かう親と子と病院。 何ヵ月、何年という月日を経て退院。 リハビリをしながら一生懸命生きていますといったような内容だった。 説明を受けるとき。 それは何らかの覚悟を決めるとき。 想像が想像を掻き立てるかのように、 自分の頭の中ではぐるぐると渦巻いていた。 午前10時、目の前の扉が開いた。
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