離ればなれ

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時計は正午を指していた。 私の出勤時間だ。 会社には休むと連絡を入れている。帰りにでも上長へ報告しよう。 ともかくまずは妻へ電話をしなくては。 医者に促されるまま、病院の外へと歩き始めた。 NICUから外まで距離にして1分強。 言葉が思いつかない。 「子供は大丈夫。心配いらないよ。検査で2週間ほど入院するらしいけど」 精一杯の説明だった。 後ろめたい気持ちを押さえながら、自分自身を落ち着かせた。 辛い日々が始まりを告げた瞬間だった。
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