一日の終わりとメール

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「? 狭山先生?どうかされました?」 川崎先生の声でハッと我に帰る。 「あ!い、いえいえ!なんでもないんです、すいません」 綺麗な顔に見入ってまして、なんて言えない言えない。 「本、ありがとうございます。お借りして良いんですか?」 「ええ。僕はもう読み終わった物ですから」 返すのはいつでも良いですよ、と付け足して彼は本を差し出す。 ありがとうございます、と遠慮なく受け取って鞄に本をしまった。 「それじゃあ失礼します」 「お疲れ様でした。おやすみなさい」 軽く右手を上げて挨拶をし、今度こそ私は扉の外に出た。 靴を履いて外に出る。 11月も中。 さすがに外は寒かった。 空を仰ぐと星が綺麗に輝いている。 マフラーをきゅっと締め直して私は帰路に着いた。
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