22057人が本棚に入れています
本棚に追加
鍵をそっと開けて玄関に入る。
母はもう眠っている時間だ。
音を立てないように階段を登り自分の部屋に入る。
部屋はすっかり冷えていたので小さなファンヒーターの電源をオンにして、すぐさま溢れ出す温風に冷え切った指先をかざした。
と、その瞬間携帯の音が響いた。
メールだ。
マナーモードにし忘れていたのか。
授業中に鳴らなくてよかった…なんて思いつつ
鞄の中に入っている携帯を取り出す。
まだ温まっていない指先では操作もおぼつかない。
メール画面を開くと、受信したメールはフォルダに振り分けられていない。
時間も時間だしDMだろうか?
そう思いメールを開く。
【こんばんは。遅くにすいません】
それだけのシンプルなメール。
一瞬頭にクエスチョンマークが浮かんだが
送信者のアドレスを見て、小さく「あっ」と声が出てしまった。
最初のコメントを投稿しよう!