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「なんて言うか…」
「狭山先生」
重ねるように、けれども優しく言う川崎先生。
「さっきは…本当に自分でもびっくりしたんですけれど、ぽろっと気持ちが出てしまって。
でも本当は言わないでおこうって思ってたんです」
やはり前を向いたまま、ゆっくりと川崎先生が話し出す。
私は何も言えず、ただ彼の横顔を見つめた。
「僕は、狭山先生が好きです」
好き。
そのワードに心臓がどくんと跳ねる。
「でも多分…狭山先生はそういった気持ちじゃないと、分かっていました。…だから僕が言って、また混乱させてしまうのも申し訳無いと…」
気付けば車は停車していた。
深夜のせいか、他に車はいない。
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