再会の病室

7/19
前へ
/685ページ
次へ
目を閉じて、ふぅ、と一度静かに深呼吸。 ゆっくりとドアに手を掛けて引く。 開けた瞬間、外の匂いがした。 ? 正面を見ると、換気の為だろうか、窓が少し開いていた。 ゆらゆらとカーテンが揺れている。 その傍にぽつんと一つ置かれたベッド。 けれど、その手前には仕切り用のカーテンが掛かっていて、私からは葉の姿を確認できない。 そして、病室には先客がいた。 ベッドの足元に置かれた一脚の椅子。 そこに座っている人物。 こちらからは背中しか見えないが、長い髪を一つに束ねた姿から女性だと言うことは分かる。 私の気配に気付いたのだろう。 その人物がゆっくりとこちらを振り返った。 「どちら様?」 年の頃は32、3と言ったところだろうか。 とても綺麗な女性だった。 決して厚化粧などでは無いのだが、パッと華のある顔立ちをしている。 シンプルな白のワンピースにグリーンのボレロがとても良く似合っていた。
/685ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22058人が本棚に入れています
本棚に追加