22058人が本棚に入れています
本棚に追加
近くで見ても、やはりとても綺麗な人だ。
それに見合うように、声も鈴のように高く可愛らしい。
もしかしたら20代だったかも…
そんなことを頭の隅でぼんやり考えながら見つめていると、彼女は私の正面まで来て
「本当にありがとうございました」
そう言いながら私の手を取った。
そして、すぐにあっ、と少し驚いた顔をしてから
「あ…すみません、申し遅れました。私、葉の母です」
と言った。
「お母さま、ですか」
正直、驚いた。
葉の年齢が17歳。
それにしては、この女性は若すぎる。
姉、と言うのならまだしも…。
「はい。昨晩こちらの病院から連絡を受けまして…。朝一で来ました」
ちらりと後方に目をやって、葉の母と言う女性が話す。
「そうだったのですか。それで、あの、葉くんは…」
私はずっと気になっていた事を聞く。
今は葉のお母さんについて不思議がっている場合では無い。
とにかく、葉が元気なのか、それが気になった。
最初のコメントを投稿しよう!