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「今はまだ薬が残っていて…夢うつつみたいですが」
ちらりと壁の時計を見て、葉の母が続ける。
「そろそろ、きちんと目を覚ます頃かもしれません」
その口ぶりからして、葉の状態はそこまで悪くないということが感じられた。
少しほっとする。
「狭山さん、でしたよね?私、ちょっと売店に行ってきますから。よかったら葉の様子を見てあげて」
少し左に首を傾けて、葉の母が言う。
こんな些細な仕草も、まるで少女のように可愛らしい。
「あ、ハイ。わかりました」
そう言う私に
「ごめんなさいね。お願いします」
可愛らしい声で応えて、葉の母は病室から出て行った。
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