再会の病室

11/19
前へ
/685ページ
次へ
再び静まり返る病室。 遠くなる足音を聞きながら、私はゆっくりとベッドに近づいていった。 こつん、こつん。 踵から小気味良い音が響く。 葉を起こしちゃうかな? そう思って、ゆっくりと出来るだけ足音を鳴らさないように歩いた。 また風が吹いて、外の香りを運んでくる。 廊下から直接見えないようにとの配慮らしく、葉の頭から膝あたりにかけて淡いクリーム色のカーテンが引かれていた。 「…葉」 声を掛ける。 予想はしていたが、やはり返事は無い。 「開けるね」 無言で入るのは抵抗があったので、もう一度声を掛けた。 ゆっくりとカーテンを開く。
/685ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22057人が本棚に入れています
本棚に追加