22057人が本棚に入れています
本棚に追加
再び静まり返る病室。
遠くなる足音を聞きながら、私はゆっくりとベッドに近づいていった。
こつん、こつん。
踵から小気味良い音が響く。
葉を起こしちゃうかな?
そう思って、ゆっくりと出来るだけ足音を鳴らさないように歩いた。
また風が吹いて、外の香りを運んでくる。
廊下から直接見えないようにとの配慮らしく、葉の頭から膝あたりにかけて淡いクリーム色のカーテンが引かれていた。
「…葉」
声を掛ける。
予想はしていたが、やはり返事は無い。
「開けるね」
無言で入るのは抵抗があったので、もう一度声を掛けた。
ゆっくりとカーテンを開く。
最初のコメントを投稿しよう!