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窓から入る明るい日差しの中、間違い無く、葉はそこにいた。
深く瞳を閉じて、すぅすぅと規則正しい寝息を立てている。
サラサラの黒髪が、無造作に流れてとても綺麗。
意外な事に私はとても落ち着いていて
ただただ、彼の寝顔が愛おしく見えた。
あんなに大人びて見えていたのに。
寝顔には、ちゃんと子供らしさが残っている。
それに気付き、私の中の愛おしい気持ちが更に膨らむ。
左腕から伸びる点滴のチューブが痛々しかったけれど
昨日よりずっと良い顔色に安堵した。
葉の枕元まで静かに椅子を持ってきて腰掛ける。
外で鳥が高く鳴いている。
じっと、葉を見つめた。
呼吸音に合わせて、掛けてある布団が微かに上下する。
時折、長いまつげがピクリと動く。
風が吹くと、顔にかかる髪が少し流れる。
それら全てが葉の存在を表していて
それが全てが葉の「生」を認めていて
その実感の波で胸がいっぱいになって、私は泣いた。
葉を起こさないように、静かに静かに泣いた。
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