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声も出せず、ただじっと見つめる。
完全に目を開けた葉は、そのままぼんやりと天井を見つめてから
ゆっくりと、こちらに瞳を動かした。
「…月子…さん?」
葉の声。
少し掠れていたけれど、あの日と一緒。
甘くて低い声。
「うん」
今、自分がどんな顔をしているのか。
さっぱりわからない。
ただ、その声がひどく懐かしくて胸が震える。
「…夢?」
少し驚いたような顔で私にそう聞く葉。
そのセリフがなんだかおかしくて、私は笑う。
「夢じゃないよ」
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