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大学は都内の女子大学に進んだ。
特段変わった事も無く、淡々と四年間を過ごして就職の内定も決まった頃、父が死んだ。
本来ならば都内でそのまま就職して…と思っていたのだが
ひとりぼっちになった母を放っておくわけにもいかず
私は内定を蹴って、この町に帰ってきた。
それが一年前。
友達曰く「世話好き」な性格の為、塾講師はピッタリだと思いここに就職した。
最初こそ、生徒とどう接するのか、クラス全体の足並みを揃えるにはどうすれば良いか
四苦八苦をしていたが、それもじき慣れた。
仕事は充実している。
母も、父を亡くして落ち込んでいたが、最近はようやく元気を取り戻してきた。
休みの日は高校からの友達と遊んだり、雑貨屋さんを巡ったりと
私なりに楽しんでいる。
ただ…なんだろう。
ふと寂しくなる。
夜、静かな部屋でぼんやりとテストの採点をしている時。
あたたかいお風呂に浸かっている時。
部屋の掃除をしている時。
何時とも無しに、突然やってくる感情。
寂しい。
悲しい。
空しい。
私はこの先、どうやって生きていくのだろう。
そんな気持ちに襲われるのだ。
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