始まり

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5月11日(木) 夕方。 クラスを代表して2人が見舞いにやって来た。 男子と女子。 感じからしてクラス委員だろう。 僕が記憶喪失だということも知らされているらしく、挨拶をしてくれたが、記憶が戻るような事もなく、気になるような事もなかった。 2、3分位したら帰っていった。 …友達らしい人も来なかったし、友達いなかったりして…。 もしそうなら少し落ち込むな…。 5月12日(金) 夕方。 昨日見舞いに来たクラス委員の女子が今日も見舞いにやって来た。 確か名前は弓塚小夜(ゆみづかさよ)だ。 『今日は一人なの?』 と聞いてみた。 『うん、今日は個人的なお見舞いだから』 少し照れてるように思える。 疑問に思い、 『個人的なお見舞いって?僕と親しかったの?』 と聞いてみた。 彼女は少し間を置き、 『うん…ええと…一樹君の彼女なんだけど…覚えてないよね?』 と答えてうつむく。 突然の告知にびっくりしながら 『僕は…ごめん、思い出せない。でも、きっと思い出すから。…それにしてもこんなキレイな彼女がいたなんて、悪い事ばかりでもないね』 と彼女の方を見る。 スリムな体型、ロングヘアに色白な肌、切れ長な目。こうして見ると、改めて美人だと思う。 彼女は恥ずかしそうに『ありがとう。私が元気付けられて、これじゃあ逆だよね?一樹君。私の事は小夜(さよ)って呼んでね』 と微笑む。 僕は思わず見とれてしまった。
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