予兆

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7月8日(土) 今まで通りの生活(多分)をして数日が過ぎた。 相変わらず記憶は戻らないけど特に不便な事も無く、あんまり気にならなくなってきた。 今は体育の授業中で校庭に出ている。 隣のクラスと合同だ。 男子がサッカーで女子はソフトボールをしていた。 僕と秀一は校庭の脇で女子のソフトボールを見物していた。 僕はある女子に目がいっている…残念だけど小夜ではない。 ショートヘアにくっきりとした目。活発そうな印象を受ける…はっきり言って可愛いと思った。 その様子に気付き 『おや?やはりあの娘に目がいったか。清水恵(しみずめぐみ)運動神経抜群。成績優秀。容姿端麗。性格も明るく男どもに大人気だ。まったく彼女いるのになぁ、二股はいかんぞ?』とからかってきた。 『イヤイヤ、そんなんじゃないから。ちょっと目がいっただけだよ』 慌てて否定する。 『それよりお前のほうこそ女子にモテモテだって?お前のほうこそ二股とかしてんじゃないか?』 と反撃する。 『ばーか。俺は硬派なんだ、女にゃ興味ねえよ』 それを聞き 『もしかして…イヤ!僕はそっちの趣味はないから!』 とからかう。 『はぁ?俺だってねえよ』 二人は笑いあう。 清水恵の方に目がいく。 ズキリ。一瞬頭痛がした。 なんでだろう?風邪?分からない…気にしない事にした。 学校から帰り、ベッドに体を投げ出した。 明日は小夜とデートの約束がある。 記憶がないから僕にとって初デートとも言える。 ドキドキしながら夜が更けてゆく。
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