第三章 それから

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「そろそろ、お父さんお母さんの十七回忌と叔父さんの三回忌をやらないとな」 「えっ?叔父さんはまだ三年経ってないよ」 立ち上がって振り向いた陸斗に向かって、秋吉は右手の人差し指だけ立ててピコピコと左右に振るとチッチッと口を鳴らした。 陸斗は秋吉の仕草に吹き出し、心の中で「だんだんおやじっぽくなってきたなぁ……」と思っていた。 「なんだよ、陸斗」 「なんでもない」 ニヤニヤしている陸斗を変に思いながらも、秋吉は続けた。 「法事ってのは早い分にはいいんだ。陸斗もだんだんスケジュールが入りずらくなってきたから、出来るなら一緒にやろう」 秋吉は陸斗の肩を組んだ。 「うん……でも、どうやるのか……」 秋吉は‘ニッ’と笑った。 「俺に任しておけ。俺はお前の兄さんだ」 「頼もしい兄さんだな」 顔を見合わせて二人は笑った。 彼岸が近い春の空は何処までも蒼く澄んでいた。 二人は碧空を見上げ、深呼吸をした。 これから起こる出来事も知らずに……。 ―― 終 ――
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