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急いでバックからタオルを出し、掛かったコーヒーを拭こうとした。
拭こうとした手を、申し訳なさそうに少年の手が征した。
「大丈夫です。僕もよそ見をしていたので……」
秋吉は少年を見上げた。
これは……。
「……いや……でも、学校の制服だし……」
ぶつかった少年の風貌に魅せられていた。
「たいしたことないです。それよりコーヒーが零れてしまって……」
「相河!どうした?先に行くぞー!」
先に行った少年の友達が呼んだ。
「今行くー!それじゃあ」
「あっ、ちょっと待って!」
「本当に大丈夫ですから」
軽く頭を下げ、少年は走って行ってしまった。
秋吉は少年の後ろ姿を見ていた。
……居た……居たよ。見付けた。
零したコーヒーなど、どうでも良かった。
秋吉は運命の歯車が噛み合った事に気が付いた。
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