第一章 出会い

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急いでバックからタオルを出し、掛かったコーヒーを拭こうとした。 拭こうとした手を、申し訳なさそうに少年の手が征した。 「大丈夫です。僕もよそ見をしていたので……」 秋吉は少年を見上げた。 これは……。 「……いや……でも、学校の制服だし……」 ぶつかった少年の風貌に魅せられていた。 「たいしたことないです。それよりコーヒーが零れてしまって……」 「相河!どうした?先に行くぞー!」 先に行った少年の友達が呼んだ。 「今行くー!それじゃあ」 「あっ、ちょっと待って!」 「本当に大丈夫ですから」 軽く頭を下げ、少年は走って行ってしまった。 秋吉は少年の後ろ姿を見ていた。 ……居た……居たよ。見付けた。 零したコーヒーなど、どうでも良かった。 秋吉は運命の歯車が噛み合った事に気が付いた。
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