第一章 出会い

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― 2 ― 秋吉は都心から離れた郊外の高校に来ていた。 「確かここの校章だったよな……」 常日頃、スカウトしようと中高生をよく見ている秋吉は、都内の学校の校章や制服をほとんど覚えていた。 「そろそろ終わると思うんだけどな……さぶっ……」 隠れていた学校敷地外に植えられている桜並木の枝葉は、もう落葉していて風よけにならず、日が射していなければもう寒さを感じた。 秋吉は大きめのマフラーをすっぽり被り、ポケットに両手を入れた。 「まだかな……」 下校する生徒達が、どうみても怪しい秋吉を横目で見ていた。 秋吉は居所無く、ウロウロした。 校庭に運動部員達が練習を始めた頃、校門から昨日の少年が友人と一緒に出てきた。 「相河、今日はどうする?」 「う……ん、どうしようかな」 どんぴしゃ!やっぱりここだ! 秋吉はスキップでもしたい気持ちになって、少年に近付いた。 「ねえ、君……相河君…?」 少年は振り向き、不思議そうな顔をして秋吉を見た。 「はい、俺……ですか?」 「そう!君!」 「相河、そのオヤジ誰?」 少年の友達が二人の間に入り、首を傾げる少年に問い掛けた。 「さぁ……」 「覚えて無いのか……昨日コーヒー掛けちゃったズボン、大丈夫だった?」 言って、秋吉は“ニッ”と笑った。 「あ……昨日の。大丈夫でしたけど、それだけで来たんですか?!」 少年は驚いた顔をした。 「違うよ。君……相河君、どこかモデル事務所とか入ってる?」 「は?入っていませんけど、何ですか?あなたは?!」 「やった!」 秋吉は思わず手を叩き、困惑している少年にジャケットの内ポケットから名刺入れを出し、中から名刺を出して手渡した。 少年は受け取ると、名刺と秋吉の顔を交互に見た。横から、少年の友達も同じ様に見た。最初に声を発したのは友人の方だった。 「相河……○×△事務所だってよ」 「俺、あまりそういうの分からないから」 「結構、おっきい所だぞ」
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