Before it loses

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「泣けよ。本当はこのまま連れて帰りたいけどそうもいかねぇ。」 「あたしだって、本当は、行きたく、ない…」 その時、有紀の乗る予定の飛行機の搭乗案内が始まった。 俺のシャツを掴む有紀の手に力が籠もった。 「絶対、会いに行くから。だから、向こうで待ってろ。」 俺は言いながらゆっくりと有紀の身体を離した。 俺を見上げる有紀の頬に伝う涙を親指で拭うとそっと、有紀の唇に自分のそれを当てた。
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