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先を話さない宮野に少し苛立ちを覚えた。
こいつはいつもすぐに言い返してくる。
回りくどいことが嫌いで単刀直入で言うことが多い。
それなのに今日は話し始めるのが妙に遅い。
「そう急かさないでよ」
宮野は笑いながら言った。
その笑顔はいつも宮野が友達に見せる笑みと違う、無理して作ったような笑顔だった。
宮野のそんな笑顔を見て俺は何も言えなくなった。
なんでだ?
俺はこいつに言いたいことが山のようにある、はず。
いつもみたいに、からかうように言えばいいのに。
その言葉さえも今の俺には言えなかった。
なんで言えないんだ?
「ちょっ…黙らないでよ」
宮野はそう言って、振り返った。
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