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不味い。 不味過ぎる。 「最近の人間は、髪を染めたり薬を塗ったり。髪が腐っておる奴らばかりじゃ」 人を山羊呼ばわりしているから刈ってやったが、赤い髪も金色の髪も案の定綺麗な髪ではなかった。 まったく、最近の世の中はどうなっておるんだか。 「お嬢様。私めもそう思いますでございます。さっきの若者の髪、わっくすが臭くて臭くて」 セバスチャンが嘆くのも毎度の事になってしまった。 まあ、直接髪に触れるのは彼なのだから仕方ないのだけれど……。 「おや?」 何やら素晴らしく良い匂いがする。 最近嗅いでいなかった、上質で薬臭くない綺麗な黒髪の匂い。 「セバスチャン、行くぞ」 「畏まりましたでござ候、お嬢様」 草刈り用の小さな鎌を持った少女は、闇の中で怪しげな笑みを浮かべた。
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