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「あっ、アイサちゃん」
織姫は飛ぶために広げていた純白の翼を閉じ、アイサと言う名の少女のもとへと降り立った。
「オリヒメお姉ちゃん、今日も巡回のお仕事?」
「お仕事なんて大したものじゃないよ。学校の実習だよー」
織姫に比べると随分背丈の低いアイサに微笑んでそう答える。
最近ではよく住宅街を飛び回ってパトロールする実習が多くなった織姫は町の子供たちにすっかり顔と名前を覚えられてしまった。
「学校って大変だね」
「うぅん。でも楽しいから、平気!」
織姫は右手でグーサインをアイサに見せると、ここで立ち止まっている暇はないのか、また翼を広げるとアイサに手を振りつつ飛び立った。
「またねーオリヒメお姉ちゃん!」
アイサも手を振り返す。
「なんか・・・学校って・・・楽しそう!」
キラキラした目で織姫が見えなくなるまで見届けるとアイサは家に戻っていった。
織姫が通う学校。
そこは少し特別な学校で、基本現世出身の人間は入学することができないのだが、訳あって織姫はその学校に入学できた。
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