序章 上

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 その経緯は追々説明するとして、ひとまず織姫が通う学校自体について少し話すとしよう。  この学校の基本方針は『有能な天使の育成』先ほど言った、現世出身の人間が基本入学できないのはここにある。  天使というものの仕事は、天界の秩序を守ることと現世の監視。  分かるだろうか?  現世出身の者が天使になって現世を監視することになれば、少なからず私情を混入してしまう。そうなってしまっては、現世の平和は危うくなる。  自分は現世でよくアイツに貶(けな)されていただとか、コイツは嫌いだとか、そんな理由で現世の人に手を下されたら困るからだ。  そういった理由がありながら、織姫が入学できたのは・・・。だからこれは後で説明することにしよう。  話は戻って、兎に角織姫の入学は異例中の異例だった。しかし、織姫が学校に入ってからの昇格には目を見張るものがあるのだ。  成績優秀。織姫は座学も実習も同じ時に入学した者たちよりも頭一つ分抜け出している。  そもそも住宅街のパトロールを課されるのは、天使階級『正天使』以降の天使なのだから。
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