文化祭までもう少し。

2/13
前へ
/13ページ
次へ
 赤い空は今の俺の心と同じ色だ……。  窓の外を眺めて物思いに耽るが、現実を変えるだけの力は持っていなかった。  風に吹かれて飛んでいく一枚の紙。  ふわりと舞って、床へと落ちていく。  それを拾い上げて俺の元へと持ってきて、微笑んでいるこいつは、あの時言った約束は守っている。だけど、これを俺にどうしろと言うんだよ。  目の前で微笑む顔は、満足げで嬉しそうだ。  だが、反対に俺の気分は最高潮に恥ずかしい。渡された紙をもう一度見るが、ドキドキして上手く見れない。  どうしてあのとき、俺はオッケーしてしまったのだろうか。その事を今頃になって失敗だったと気付いていた。  ……はあ。  一人ごねても仕方ない。  俺の悩み。  こうなった事の発端は、五日前に遡るのだった――。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加