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それぞれの担当を普通に分担しても、五人は集まるはず。それが何故にたった二人で看板を作らないといけないんだ。……しかも、一人はまったく手伝わない、と来たもんだ。
どうして皆は誰も手伝ってくれないんだよ! そんなに薄情なクラスだったのか、俺達のクラスメイト達は!
「冷やかしなら帰ってくれよ」
「酷い言い方ですね。手伝いに来たんですよ、今日は」
少し頬を膨らませている凛は、立ち上がって近くにある机の上に鞄を置いてから、また俺の隣に腰掛けている。
「お前が……?」
「そうですよ。何か不満でも?」
俺が座っているのは、教室の床の上。空教室なので机は後ろに全て並べられている。
それなりに掃除は行きとどいているが、床は少しホコリっぽい気もするので別に同じようにしなくてもいいのに、なんて律儀な奴だよ。
「制服、汚れるぞ?」
「いいですよ。それなら、章仁さんも同じでしょ?」
「そうだけど……」
「そうですよ。別に二人っきりですから、気にしません」
普通、女の子は汚れるのが嫌で直には座らないだろうが、凛はまったく気にする事もなく座っている。
本当に変わっている奴だ。でも、こんなところが男女問わず、人気がある秘密なんだろうな。しかし、最後の言葉はどういう意味だ。二人っきりだから気にしないってなんだ?
……それよりも近すぎだ。
そんなに俺のそばに座るなよ。ちょっと恥ずかしいし、それに動き難いだろうって。
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