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そして今日、凛がデザイン画が出来上がった、と嬉しそうに持ってきた。
「それで、これを俺に描けと……?」
「そうですよ。ちゃんと描けているのですから、いいでしょう?」
いや、質問に疑問で返されて困るんだがね。しかも、半ギレで。
紙を見ると確かにデザインは完成している。
前に描いていた奴の許可も凛がとっているので問題ない。笑顔で奴はオッケーしたらしい。だが、一つだけ問題があるとすれば、このデザイン自体だ。
「凛……お前、これ本気かよ?」
「ええ、本気ですよ? 私が気持ちをこめて描きましたからね」
ちょっと頬が赤いと言うか、何を恥ずかしがっているんだよ。
俺の方がもっと恥ずかしいんだぞ?
これは、新手のいじめかと思ってしまうほどのもの。
『章仁が大好きです。私と付き合ってください』
どこの世界にこんなものを描く奴がいるんだよ。
これは愛の告白だろ?
完全に愛の告白ですよね?
ストレート過ぎる文面に恥ずかしいと言うのか、言葉が出ない。
直視する勇気はないがチラリとデザイン画を見てみると、全体が紫色で大きなハートマーク。
その中に先ほどの文字が大きく書かれていて、そしてその周りには小さな緑色のハートマークに翼が生えたのが、槍を持って飛び回っている。
なんて、メルヘンチックで独創的――じゃなくて、これではなんか俺の名前が晒し者の気分だぞ。
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