気がつけば……

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大きく息を吸い込むと、再び疲弊した体に鞭を打ち走りだす。 駆け出した俺に合わせるように足音も大きくなった。 そんなことを気にするでもなく一度ちらりと上に視線を向け、走るスピードを速める。 後ろの足音が止まった。いや戸惑っているのか…… 俺が走りだした方は行き止まりで、あるのはゴミの回収箱と散乱するゴミだけ。 俺はスピードを緩めるどころか更にスピードに乗る。そのまま上に跳ぶように踏み切ると回収箱の上に……更に回収箱を踏み台にして、トンッともう一度飛び上がる! 目指すは正面二階の窓! 体を捻るように持ち上げ更に体を小さくし腕を体の正面で交差する。窓の大きさに合わせるためと、破片から顔を保護するためだ。 バリーッン!! 小さな衝撃と共に上手く窓から突入すると、着地の衝撃をいなすように受け身をとりながら転がった。 だが、すぐに新たな衝撃が体に走る。 ……んぐっ!?  窓から突入したのはいいが、部屋ではなかったようで想像以上に狭く反対側の壁に激突してしまったようだ。 すぐに動くでもなく目を開き今の現状を確認する。 痛みはほとんどない。手足の動かし自身の感覚の異常を確認する。 違和感は………ない。
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