203人が本棚に入れています
本棚に追加
/256ページ
意識を失った体は迫ってくる2人の進行を妨げる。
一呼吸ほどの間。
迫ってくるもう1人が俺の脚を刈るような下段蹴りを放ってくるも、前脚を持ち上げ空を切らせる。
その持ち上げた前脚を地につけると同時にそれを軸に体を捻る。
一瞬遅れて後ろ脚で相手の顔に蹴りをたたき込む。
後ろ回し蹴り!
もちろん狙うは顎。
カクンッと相手の顔が傾くと、先程と同じように相手の体から力が抜け膝から崩れ落ちる。
残るは2人。
意識のない体にもたついている間にまた1人やられてしまい、驚いているようにも見える。残りの2人は1度顔を見合わせると合図をしたかのように同時に動きだす。
若干狭い路地ではあるが4、5人ほどが横一列に並んだ程の幅がある………その幅を目一杯使い、2人は左右に分かれた。
ちぃっ!
思わず心の中で舌を打つ。
1対1なら自信があったが、同時に攻撃されるとなると少々厄介だ。
1対多数の基本は1対1の状況を作り出すこと。
先程までであれば、こちらの力を甘く見ていてくれていたおかげで、いくら訓練を受けているとはいえ簡単な連携しか取っていなかった。
が、2人が倒された以上はその認識を改め向かってくる。
左右対称のような動きで左右から間合いを詰められる。視界の両端に捉えている黒い戦闘服の2人はほぼ同時に蹴りを放つ。
右からは上段回し蹴り!
左からは下段回し蹴り!
後ろに下がれば間違いなくチェックメイトだ。
俺は体を屈めるようにしてその場で浅い跳躍。頭から上段と下段の回し蹴りの間をくぐり抜ける。
最初のコメントを投稿しよう!