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着地すると同時に受け身の要領で前に転がり起き上がる。
すぐ振り返るとすでに2人はこちらに近づいていた。
激しい衝撃!
右からの回し蹴りをなんとか肩口で受けとめたが、そこにもう1人の足刀が俺の鳩尾あたりを捉えた!
俺の体は後ろへと飛ばされると壁に激突する。
その衝撃に肺に蓄えていた空気が漏れる。
本当に厄介だ。
追い討ちをかけるように2人は間合いを詰めてくる。荒い呼吸を無理やり押さえ込み俺は一目散に駆け出した。
正直、分が悪い……
逃げるのはあまり好ましくなかったが、引き際を見誤ると酷い目に合うのは間違いない。
駆け出すとすぐに肺が痛くなり、呼吸の度に苦しさを覚える。蹴られた鳩尾も痛みが奔る。
……ここまで体力が落ちてるのか……くそっ!
脚が重い。
振り返ることもなく、ただひたすら走った。無理やり脚を持ち上げながら路地を抜けなんとか街に出る。
溢れかえった人ごみの中を滑るように抜けていった。
しばらく走るとさすがに限界を迎えてしまい脚を止める。
行き交う人は俺に冷ややかな視線を送ってくれていた。確かに全力疾走する大人など滅多に見るものではないし、ましてや街中で息を荒げるまで走る奴などほとんどいない。
変な目で見るんじゃねぇよ。
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