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“一歩”
旅人は新たなる街との出会いを求めて必死に歩いている。
傷付いた身体を引きずりながら…。
歩いても歩いても次の街は見えて来ない…。
それもそのはず旅人は前に歩いているようでまるで進んでいないのだ…。
今まで旅してきた道のりや街で出会った友にはどんどん先に進んでいて次の街も見えそうだなんて嘘をついて…。
なんで自分に正直になれないのだろうか…。
今歩いているフリをしたって自分の為にならないのに…。
同じように旅立った旅人には前に進めなんて言っておきながら…。
友である旅人の真意に気付いていながら助言せずに前を向かせた。
自分は進んでるフリをしているくせに…。
俺は何してるんだろう…
ふと我に還り思い出にふけり泣きそうになるがそこを振り切り一歩踏み出したつもりだった。
旅人は今また歩を辞めてしゃがみ込み悩みはじめた。
俺はそんなに強くない。
旅をするうえで大事な事を忘れているくせに人には大層な事言う権利はない。
俺はダメな奴だ。
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