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僕は家へと続く、細長い一本道を走って帰っていた。
だけど、あることに気が付いてリズミカルに地を踏む足を緩めていった。
すっかり勢いを失った僕の足は遂にその場から動くのを止めてしまった。目前には家が見えているけれど、僕は後ろを振り向いた。
友達から貰って、あれほど大事に手の中で握り締めていたヒーロー人形をこの道の何処かに落としてしまったのだ。
僕は来た道に戻る。
きっとこの辺にあるはずだ。
ない。
確かこの辺に……。
ない。
気がつけば先ほどまで遊んでいた友達の家まで戻って来てしまった。
僕は帰り道に戻った。
もうすっかり空では夕陽が沈みそうだった。
そして、ある事に気付く。
今度は、お財布を落としてしまった。
探しても探しても見つからない。
同じ道を行ったり来たりしている内に空はすっかり暗くなっていた。生憎のことで街灯なんてないこの道を呪ってやりたい気分だった。
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