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よく考えると
わざわざ洋一に言わなくても知らなければ
洋一が天気雨の時に
その祝詞を言う確率は低くなるだろう
だがヨネにはヨネの考えがあった
それは、洋一が小学校に行けば
一喜以外にも友人が増えるからだ
そうなれは洋一が
知らない知識も得ることになる
もし偶然にも
『狐の嫁入り』と言う言葉を知った上で
天気雨に出くわして
祝詞を言ってしまうと
祝詞の効力が出てしまうわけだ
だからあえて
洋一に言っておいたのだ
そして洋一は
強ばらせた顔を下に向けてヨネに聞いた
「この前一喜君に
天気雨の日は
『狐の嫁入り』があるって事を聞いたんだ
僕は嘘だぁ~って
笑ってたんだけどね…
一喜君も信じてなかったし」
洋一は下に向けた顔を
ヨネに向けて
震えながらの声で聞いた
「もし
その言葉を言ってしまったらどうしよう?
もし言っちゃたらどうなるの?」
ヨネは洋一の肩を
優しくつかみ
そして、洋一を
落ち着かせるように語りだした
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